このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。
第一幕の後半をぶっ壊せ!!
新しい世界へ
18分27秒〜
ここから第一幕も後半に入る。
「日常の世界」にいた主人公は、「冒険の誘い」を受け、踏み出す勇気が出ない主人公は一時的に「冒険の拒絶」をするけれど(ハリーは迷ってないけど)、勇気を出して新しい世界へと大きく一歩を踏み出した。
日常の世界は、この新しい世界を魅力的に見せるための呼び水だ。できるだけコントラストをつけたほうが、新しい世界が際立つし、インパクトもある。ハリー・ポッターの世界のように世界そのものが変わる場合もあるし、仕事や住むところが変わるなどの環境の変化、あるコミュニティに飛び込むという社会環境の変化、運命の人と出会う人間関係の変化など、さまざまな変化をこれ以降では見せていく。
ハリーポッターについては、「現実世界」VS「魔法世界」なので、コントラストをつけるのは簡単な方。ただ、ハリー・ポッターの世界観は別格の楽しさがある。観ていてワクワクするし、本気でこんな世界に行ってみたい。うちの母親も当時言ってた。「本を読んで想像してた通りの世界!」って。まさにその通り。
さあ、第一幕の残りをぶっ壊してみる。
ダーズリー家を去ったハリー。マグルが住むロンドンの街を巨大なハグリッドと歩く。ハグリッドが大きすぎて違和感しかない。街行く人も驚いて見ている。二人は、街の一角にある「漏れ鍋」というパブに入っていく。
ここは、本番前の控室みたいなもの。特に魔法要素はないけれど、パブの客たちがハリーの名前を聞くやいなや、驚きと尊敬と畏怖の眼差しでハリーに丁寧に挨拶をする。何も知らないハリーは驚くばかり。今までバカにしかされてこなかったハリーにとって、人の尊敬の眼差しなどは初めてみるだろう。
ちなみに、後々のキーマンとなる「クィリナス・クィレル」が登場する。
ハリーの握手を拒否する仕草は伏線だね。(原作では握手に応じるらしいけど…。これは映画化による改変だから仕方ない)
ハリー・ポッター卒業アルバム, 竹書房, 2011
とにかく「日常の世界」とはルールがまったく違っている。ハリーは有名で尊敬されているのだ。
映画において、この新しい世界のルールの違いをどう見せるのか。
大抵の映画では、新しい世界に入ったとき、その世界のルールを説明してくれる人物が出てくる。その人物は主人公に説明してくれているのだが、本当はわたしたち観客に説明してくれている。観客は主人公と同じレベルでルールを知らない。主人公は、観客の代弁者としてあれこれ質問したりしてくれる。
『ターミネーター2』では、ジョンがT-800から未来の戦争について説明を受ける。
『オズの魔法使い』では、ドロシーが出会った北の良い魔女からオズの国について説明を受ける。
『ショーシャンクの空に』では、新米囚人アンディがベテラン囚人レッドから刑務所の中のルールを教わる。
『ハリー・ポッター』においては、「ヘラルド」であるハグリッドがハリーの案内人として請け負っている。
この時点では、ハリーが有名な理由ははぐらかされているけど。
20分48秒〜
ここからが、ハリー・ポッターの世界の本領発揮だ。
漏れ鍋の裏口に出て、ハグリッドが傘でトントンと壁を叩くと、壁が生き物のように動き出し、入口が出現する。どんな世界が広がるかワクワクが頂点になる瞬間だね。
その入口を抜けると、紛うことなき魔法の世界が広がる。おなじみ「ダイアゴン横丁」だね。
壮大な音楽とともに、不思議な形の建物、みんなが知ってる魔法使いや魔女の姿、不思議なフクロウ、空飛ぶ箒ニンバス2000が映し出される。今まで出し惜しみしていた分、魔法の世界を大放出していく。
(全然関係ないけど、ここの曲がFF12のラナバスタの音楽に似てる気がする。ホントに全然関係ないけど)
ふんだんに世界観を紹介したいところだけど、何でもかんでも表現はできない。小説と違って映画は時間制限があるから。この映画に関してはたったの1分10秒。前にも言ったけど、意味のないシーン、セリフ、カットなんてものは一つもないのが映画だ。だからこそ、映し出す魔法の世界も必要なものだけになってくる。それは、ダイアゴン横丁そのもの、大勢の魔法使いや魔女、フクロウたち、ニンバス2000(ロゴもしっかり映してる)。これは物語、ひいては映画シリーズを通じて何度も出てくる脇役たちだ。ストーリーに関係してくるものを観客にちゃんと覚えておいてほしくて、あえて映している。
だが忘れちゃいけない。シーンの目的自体はわたしたち観客に魅力的な魔法の世界を伝えること。
逆を言うと、限られた映せるものを使ってシーンの目的を果たすための世界観を表現しなければならないのだ。ここは監督の腕の見せ所だね。
たった1分ちょいで魔法の世界を最大限に魅力的に観客に観せたあと、グリンゴッツ魔法銀行に向かう。
目的は銀行にハリーのお金を引き出すこと、そしてあるものを引き取りに行くこと。だ。
22分〜
グリンゴッツ魔法銀行に来るハリーとハグリッド。見たこともないゴブリンに驚きつつ、687番金庫のある洞窟へ入っていく。死んだハリーの両親は莫大な財産を残していたようで、金庫の中にはジャックスパロウもビックリな金貨(ガリオン)の山が積まれていた。
一方、ハグリッドはホグワーツからの依頼で、小さな小袋を713番金庫から取り出し、懐にしまう。
ハグリッドのこの行為は、本筋のきっかけの出来事にあたる重要なポイント。②で話した、「インサイティングインシデント」に近い性質があるけれど、主人公であるハリーに直接の影響はないので、プロットポイントの一つと考えて良い。
といったところで、この辺で休憩だ。次回は、ヒーローズ・ジャーニーの「ステージ6:試練、仲間、敵対者」を紹介していく。第一幕では、主に「敵対者」について、解説していきたい。
ではまた次回で!
映画はみんな、素晴らしい。


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