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映画をぶっ壊せ!!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』編:⑦ 第ニ幕・後半 其の参

このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。

今日も映画をぶっ壊せ!!始めていこう!

マーティの最終手段

1時間16分41秒〜

第二幕も終盤に入ってくる。ここからセカンド・プロットポイントに向かって加速していく。セカンド・プロットポイントとは、第三幕に飛び込むきっかけとなる出来事だね。

ここからマーティの、強引にジョージとロレインをくっつける作戦が開始される。マーティがロレインを襲う「ふり」をして、そこへヒーローがごとくジョージが助ける。という内容だ。いかにも高校生が考えそうな内容だが、もう考えているヒマはない。

ここから会場は、魅惑の深海ダンスパーティに移る。

ここで、ヒーローズ・ジャーニーのステージが進む。ここはマーティとジョージの物語、それぞれ共通となる。ステージ7:最も危険な場所への接近だ。

ヒーローは、試練を乗り越えてベース・キャンプまでたどり着いた登山家のようである。そして、彼はそこから最高峰への最終アタックを開始しようとしている。

クリストファー・ボグラー著, 神話の法則 ライターズジャーニー, 愛育社, 2002, p.495

マーティやジョージがロレインに対して、いろいろ策をこうじてみるけれど、どれもうまくいかない。そうしていちばん大事なイベント当日を迎えてしまった。苦し紛れだけれど、これを成功させるしかない二人。マーティはこの作戦が失敗すれば、存在が消え失せ、ジョージは妻になるはずだったロレインを永遠に失う。だからこそ、この魅惑の深海ダンスパーティは最も危険な場所と化したのだ。

しかしながら、作戦はうまくいかない。本人曰く貞淑だったはずのロレインを襲うはずだったが、逆にマーティに対して積極的に迫り、酒を飲み、タバコも吸っていた。話と違うじゃないか!と慌てふためくマーティをよそに、ジョージは迫る約束の時間も忘れ、呑気にパーティを楽しんでいた。

止まらないロレイン。その勢いでとうとうマーティとキスをする。しかし、ロレインは浮かない顔。マーティとのキスに違和感を感じたのだ。

ロレイン「…(真剣な顔で)何か違うの。分からない、けど、キスした時…なんか弟とキスしたみたい。よくわからないとは思うの…どう思った? 」

ロレインのマーティに対する気持ちはここで一気に冷める。てっぺんまで登ってみたものの、そこから見える景色が求めていたものと違ったときのがっかり感は誰にでもある経験だ。ここでロレインの恋は終止符を打つ

ロレインが恋を終わらせた

ストーリー構成上大事なのは、ロレインからマーティにキスをしたこと。言い換えると、ロレイン自ら目的を達成し、自分の恋に結論をだしたということが大事。かなり強引な手段だけど。

逆に、マーティがロレインとは恋人にはなれないと何らかの形で説得できたとしたら、ロレインが心から納得できるかと言えばそうではない。それで、そのままジョージの方とくっついて、マーティの妥協先としてジョージを選んだみたいになるのが一番ダメ。だからこそ、ロレインが自らマーティとの恋を終わらせるように仕向けたんだね。そのための強引なキスということ。

そういうわけで、ロレインの恋はここでおしまい。

次の恋に走るための準備はできた。じゃあ次のお相手は誰?ということになる。
そこで現れた次の候補者。それはジョージではなく、ビフ・タネンだ。

ジョージの物語の山場

1時間20分18秒〜

突然、マーティがビフにひきずりだされる。肥やしまみれになった自分と車の恨みを晴らすべく、ビフたちはマーティを探していたのだ。そのままマーティは手下どもに連れ去られ、バンドマンの車のトランクに押し込まれる。

取り残されたロレインは最大のピンチ。ビフはお気に入りのロレインを無理やり押さえつける。

そこへ時間に遅れ、慌てて到着するジョージ。台本通りマーティからロレインを助け出そうと、車のドアを勢いよく開ける。しかしそこにいたのは因縁の相手、ビフ・タネンだった。

ここで突然始まるジョージのステージ8:最大の試練だ。

ヒーローは、恐るべき挑戦を受け、最強の敵と向き合うインモウスト・ケイヴ(最も危険な場所)の最深部に立っている。(中略)そこは真にヒーローとなるための素晴らしい力を得る場所である。

クリストファー・ボグラー著, 神話の法則 ライターズジャーニー, 愛育社, 2002, p.495

ロレインを助けるという挑戦を受け、人生最大最強の敵であるビフ・タネンと対峙するジョージ。元の未来ではビフに屈し続けた人生だったが、マーティが介入したことによって、真のヒーローになる最大のチャンスが訪れる。

観客もここが山場だとすぐに分かるくらいに、シーンも盛り上がりを見せる。今まで「賢者」として助けてくれたマーティも今はトランクの中。ヒーローはいつだって最後の戦いは独りきり。仲間も武器もなく、自分の力だけでこの試練を超えなければならない。

最初は恐怖で怖気づき、力に屈服しそうになるジョージだが、ロレインが突き飛ばされたことで、ジョージは怒りと勇気を振り絞ってビフ・タネンを殴り飛ばす。

頑張ったご褒美

これによって、ヒーローであるジョージは次のステージ、ステージ9:報酬に進む。その報酬はもちろんロレインだ。女性はモノじゃない!!って声が聞こえて来そうだが、もちろん逆もあるし、人間じゃない場合だってある。  

『美女と野獣』(17)では、ベルは野獣の呪いを解いて、王子を手に入れる。
『プラダを来た悪魔』(06)では、アンディはミランダと決別し、本当の自分を手に入れる。
『タイタニック』(97)では、ジャックと出会ったことで、自由に生きる人生を手に入れる。

オーディール(最大の試練)でのクライシス(重大局面)を切り抜ければ、ヒーローは死を生き抜いたリウォード(報酬)を受け取る。

ヒーローやヒロインは誰しも、命を賭けたり、誰もが失いたくないものを犠牲にしたり、愛するものとの約束だったり、命を顧みない覚悟と勇気で何かを決断したときに初めてその報酬が手に入る仕組みになってる。
努力も何もせずには、報酬は絶対に手に入らない。少なくとも物語上ではね。

ちなみに、報酬は他にもいろんなカタチがある。ボグラーによると、全部で13種類。細かい説明は抜きにして簡単に一部を紹介してみる。

  • 祝宴
    勝利の果実を料理し食べ尽くすような祝宴の機会を持つ。
  • ラブシーン
    犠牲も厭わず積極的に行動して、初めて本当に愛されるだけの価値が出てくる。
  • 財産を手に入れる
    財宝探しは黄金を手に入れ、スパイは秘密を盗み出し、海賊は船を略奪、奴隷なら自分の運命を勝ち取る。
  • 新しい知覚
    ヒーローは死を生き抜くことで新しい力やより優れた近くを得られることに気づく。
  • 自己実現
    自分が何者であるかを理解すること。
  • 神格化
    ヒーローは自らが神か王の息子として、特別な力を持つ選ばれたものであることを突然気づく。
  • 歪曲
    ヒーローは生意気で横柄になり、その力や特権を乱用する。

歪曲にもあるように決して素晴らしい報酬だけではないことも分かる。お金や地位を手に入れたことで、傲慢になって、家族や友人、大事なものすべてを失う主人公を映画で見たことがある人も多いだろう。

第二幕のクライマックスへ

ジョージの物語は、これで終わってはいない。ステージ10以降へと進んでいく。
そして、同時並行的に、マーティのステージ8:最大の試練も始まる。

マーティ「でも、ねえ、聞いて、マーヴィン、マーヴィン、演奏しなくちゃならないんだ。ダンスフロアが初めてのキスをする場所なんだ、もし音楽がなければ踊れない。もし踊れなかったら、キスできない。キスできなきゃ、恋に落ちないし、僕は生まれないんだよ 」

次回は、ジョージの物語のフィナーレをぶっ壊していこう。
また見ていただけたら嬉しいです!!

映画は、みんな素晴らしい。

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