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映画をぶっ壊せ!!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』編:⑥第ニ幕・後半 其の弐

このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。

第二幕後半をぶっ壊せ!!続き、始めていこう。
前回から続いて、マーティの試練が続いていき、ジョージがファースト・プロットポイントを迎えて、ようやくロレインをデートに誘うという難題に取り組んでいく。

ジョージの決断

1時間2分54秒〜

ジョージがようやくやる気になったところで、ロレインを射止めていくプロセスを楽しむ時間が始まる。ジョージの気弱さが際立って全くうまくいかない。だけど、一瞬のキラメキを見せる。

ジョージ「そう、そうなんだ。僕はジョージ。ジョージ・マクフライだよ。僕は君の運転だ…いや、つまり僕は君の運命なんだ 」
ロレイン「まあ 」

ほんの一瞬だけ、ロレインがジョージに感心するシーンを見せる。やっぱり、嫌悪感からは恋はうまれにくいので、こうして少しだけ可能性を見せることで、マーティからジョージに乗り換える説得力みたいなのを少しずつ積み上げてるのがわかる。観客も気づかないくらいにさりげないシーンになっているけど。

とはいえここでロレインがジョージに鞍替えしては物語が終わってしまうので、直後にビフ・タネンが邪魔しに来てうやむやになる。ビフがジョージに絡んでいくが、好戦的なマーティがジョージを助けようとビフを撃退する。その行動が逆効果になってロレインの恋心を燃え上がらせてしまう。

こんな風に、ドクの忠告も聞かず、マーティはどんどん過去の出来事に介在していく。行動が意図とは逆効果になっていくんだね。マーティは行動力も度胸も気概も在るけれど、頭で考えるより体が反応してしまう思慮のなさが欠点となって、結果的に物語をかきまわしてしまっている。こういう役回りを持つアーキタイプがいる。それが「トリックスター」だ。一度くらい聞いたことのある言葉かもしれないが、物語における重要な役割を持つキャラクター特性なんだ。この解説は字数的に、次回で掘り下げようと思っている。

なので、今回はそういうアーキタイプがいるということを覚えて帰ってほしい。

未来に戻す方法

1時間8分10秒〜

ここでジョージの物語は一旦休憩。マーティの物語に戻る。ここでは、ドクの85年に起きる自身の運命について伝えたいマーティと聞きたくないドクが葛藤するシーンと、時計台に落ちる雷の電力をどうタイムマシンに利用して未来に戻るかの説明シーンだ。

通常はシーンが途切れると、観客の集中力が削がれて物語への没入感や感情移入が薄くなってしまう。映画としてはとても危険な好意だ。しかしながら、2つの物語を並行させる決断をしてしまった本作だから仕方ない。どうしてもこういうシーンは出てきてしまう。

だから、完全に途切れさせないように、シーンの最後にロレインの自宅突撃シーンを入れてる。ちなみに、このシーンの移り変わりがすごく好き。

ドク「心配するな。私は雷を何とかする。君はパパをなんとかしてくれ。ところで、今日はどうだったんだ?(ジョージは)彼女を誘ったのか?」
マーティ「そう思うけど」
ドク「彼女は何て?」
(ロレインが)ドアをノックする音 。

日常じゃありえないタイミングで、ロレインがマーティを訪ねてくる。極めて映画らしい時間効率を最大短縮したシーンを作っている。映画を見ていると普通に受け入れてしまうようなシーンだけど、よく考えたらこんな意図されたタイミングで訪ねてくるのは不自然すぎるけど、映画だとなんとなく自然に見えてしまうのが不思議。

それは余談として、このシーンの目的として、ロレインの溢れんばかりのマーティへの気持ちを表すだけで終わらせず、ちゃんと次のアクションのヒントにもなっている。

ロレイン「ジョージ・マクフライ?ああ、彼も可愛いけど…でも私は、あまり、その。私は男の人は強くあるべきって思うの。自分のために立ち上がって愛する人を守れないと」

ロレインは強い男が好き

こういう男に惹かれることがこのセリフでわかる。正面からジョージに誘わせても、無理だと悟ったマーティはこのセリフを受けて、次の作戦を思いつく。マーティがロレインを襲うふりをして、ジョージに救わせるという、古典的なやりかたを計画する。

サブプロットの役割

1時間14分30秒〜

ここで、少しだけ脱線。

マーティがドクの85年に起こる運命について知らせようとするシーンが、何度か続いているけれど、ドクがどうしてもそれを拒む。

ドク「ダメだ!マーティ。もうそれについては話し合ったじゃないか。未来について知ることはとても危険なんだ。たとえ君の親切心でも、大きな災いになるかもしれない。君が私に何を伝えたいのだとしても、自然の流れに従って分かる時がくる」

最終的には、マーティは仕方なく手紙を書いてこっそりドクのコートのポケットへいれる。

これは、メインの2つの物語とは直接関連性のないミニストーリーみたいな物語を「サブプロット」と呼ぶ。これは映画の隠し味的な要素で、物語を肉厚にしてくれたり、盛り上げてくれたり、キャラクターを深く知るのに役に立つ。定義は以下を参考にしてほしい。

ちなみにプロットというのは、物語の筋。物語全体ではなく、ある出来事のかたまりのこと。詳しくはwikipedia参照。

サブプロットは、同じシチュエーションにおける主人公ともう1人のキャラクターのおおむねのアプローチの違いを比較するために使われるものだ。

ジョン・トゥルービー著, ストーリーの解剖学, フィルムアート社, 2017年, p.641

※上記の本は641ページもある分厚い本だけど、ストーリーの構造がどう構成されているかをもっと細かく22段階にわけて解説しているので、ぜひ興味ある人は読んでみてほしい。物語がもっと面白くなるよ!!

BTTFでいうと、まさに85年に起きる悲劇という事実に対して、避けられるなら避けるべきというマーティと、科学者として運命に介在するのはダメだというドクのアプローチの違いをみせるために、このサブプロットが存在してる。このアプローチの違いは、同時に観客にも問いかけられている。あなたはどっちが正しいと思いますか?と。

ちなみに、サブプロットを使うにあたって、2つのルールがあると著者は言ってる。

  1. サブプロットは主人公のメインプロットに影響を与えるものでなければならない。(中略)サブプロットをメイン・プロットと関連付ける際には、できる限りきれいにつなぎ合わせる必要がある。それもたいていの場合は、ストーリーの終盤でそれを行う。
  2. 通常、サブプロット・キャラクターは仲間ではない。(中略)メイン・プロットとは異なるが関連の在る別プロットを前進させるキャラクターである。

1については、マーティのメインプロットの最初に起こったドクの銃撃に関連し、その後のマーティの行動に影響を与えている。そして映画の終盤でマーティとドクのやり取りにもちゃんと答えが出てる。

2については、ドクは仲間だし、このルールは当てはまらないけれど、別プロット(ドクの運命)を前進させるキャラクターであることは間違いない。というか本人だしね。

このサブプロットのおかげで、マーティの内面の一部が垣間見えたり、ドクの科学者としての矜持が見れたりする。そうするとキャラクターに深みが出て、感情移入が深まる効果がある。

次回は、マーティの第二の作戦が始まる。
というわけで今回はここまで。また次回も読んでくれたら嬉しいです!

映画は、みんな素晴らしい。

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