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映画をぶっ壊せ!!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』編:④第ニ幕・前半

このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。

バック ・トゥ・ザ・フューチャー第二幕をぶっ壊せ!! 始まります。

過去へタイムスリップ

31分32秒〜

第一幕、ファーストプロットポイントで劇的なタイムスリップをしたマーティは、1955年に無事?到着。まさか本当にタイムスリップしたとは思っていないので、普通に住人とコミュニケーションを取ろうとするが、防護服に身を固めたマーティは宇宙人だと勘違いされ驚かせてしまう。住人はマーティをショットガンで撃とうとするが、マーティは命からがらツインパインズ(松の木)の片割れを薙ぎ倒して逃げていく。

新世界には、新世界の独自のルールがあり、そのルールを知らずに間違えると、先のマーティのように命の危険さえ出てくる。だから、いち早くマーティも1955年のルールを覚えなくちゃならない。だけど、まだ教えてくれる仲間は出てきてはいないので、行く先々で大小様々なトラブルを起こしてしまう。

そういったトラブルを利用しながら、55年にタイムスリップしたことを色々な仕掛けを散りばめて、時代の違いを丁寧に見せていく。同時に観ている観客も55年にタイムスリップさせなきゃいけないので、どういったシーンを見せるかはすごく重要。旧世界と新世界のコントラストが濃ければ濃いほどインパクトは大きい。

おなじみ『オズの魔法使』(39)でも、カンザスは白黒、魔法の世界に到着するとカラーになる。わかり易すぎるくらいがちょうどいいのだ。

ここから、三幕構成で言うところの、ミッドポイント(中間点)である60分までくらいは新世界である1955年の紹介と、仲間、敵対者との出会い、この新世界で帰るためにやらなくてはいけないことの、前準備を整える時間に使う。

もう一つの物語のはじまり

マーティがなんとかヒルバレーに到着すると、1955年のヒルバレーを目の当たりにする。捨てられた新聞を手に取ると、1955年11月5日の日付が目に飛びこんでくる。この時点でも信じきれず、夢だと思い込もうとするマーティ。とにもかくにももとの時代に戻るため、ドクに連絡を取ろうと、公衆電話のあるカフェに入る。情報が集まる場所といえばバーと相場が決まっているが、高校生なのでカフェになってる。

そこで偶然出会ったのが、若き日の父、ジョージ・マクフライだ。ここで、物語上の主人公が登場。同時に、物語の「敵対者」、若き日のビフ・タネンも登場する。彼はマーティにとってもジョージにとっても「敵対者」となっている。その憎たらしさは1985年と全く変わっておらず、ジョージを奴隷扱いしているのも全く変わっていない。その二人の関係性を観客に瞬時に認識させるために、ジョージとビフは同じような会話のやり取りを披露する。関係性とその持続性が瞬間的に理解できる会話のテクニックだね。

そんな二人を見て驚愕するマーティ。ここでは特に何もアクションは起こさず、傍観するのみだ。
そんなマーティを取り残して、ジョージとビフはカフェを去る。

過去の改変

41分21秒〜

咄嗟にジョージを追いかけるマーティ。ジョージが木に登って覗き魔をしているところを発見。マーティは若き日の父の情けない姿にがっかり。そんな時、ジョージが誤って木から落ちてしまう。ちょうどそこに車が通りかかり、轢かれそうになるジョージを咄嗟にマーティが身を挺して助ける。本来、轢かれるはずだったジョージの代わりに、マーティが車に轢かれてしまう。

ここで、マーティが知らない新世界のルール。それは、「過去の出来事に介在しないこと」。このことを後々にドクが教えてくれるんだけれど、そんなことは知らないマーティは観光客気分で過去に介在してしまう。このことがきっかけで、バック・トゥ・ザ・フューチャーするだけじゃなく、厄介な問題も抱えることになるんだね。

これが、ジョージの物語にとっての「インサイティング・インシデント(きっかけの事件)」となり、ジョージは気づいてはいないが、ジョージにとっての最高の「賢者」であり、最も信頼のできる(親子だしね)「仲間」である、マーティとの出会いを果たす。

賢者(メンター)…ヒーローを教育し、守護し、価値ある贈り物を与える。
仲間(アライズ)…サイドキックス(相棒)ともいう。ヒーローと共に旅をし、冒険の手助けをする。

クリストファー・ボグラー著, 神話の法則 ライターズジャーニー, 愛育社, 2002, p.495 を参照

車に轢かれたマーティは次の重要人物、マーティの母親、ロレイン・マクフライと出会う。85年の太った母親と違って、かなりのスリム美人。そして貞淑はどこへやら、かなり積極的なロレイン。事故で気を失っていたマーティは若き母から献身的な看護を受けながら猛烈にアプローチされ、ドクが住む住所だけ聞いて、逃げるように家を飛び出す。

この映画の面白いところは、2つの物語が同時並行で進んでいること。マーティがバック・トゥ・ザ・フューチャーする物語と、ジョージが人生を変える物語。決して複雑な構成ではないけど、この映画が退屈しない最大の理由だと思う。複数プロットが同時に走っているため、劇中、常に何かが起こり続けているからなんだ。

第二幕前半の目的達成

47分56秒〜

ようやくマーティは、唯一の頼みの綱である若き日のドクの元を訪れる。ドクは、主人公マーティにとって「賢者」と「仲間」のアーキタイプを持ったキャラクターだ。85年に戻るための唯一の頼みの綱であり、唯一の仲間であるドクの家を目指す。それが第二幕前半の目的地となっている。ただ、目的は、ドクに過去に返してもらうこと。これが一番重要だ。

ドクの家を訪れて最初にやらなければならないこと。それはタイムスリップしてきたことをドクに信じさせること。普通はそんな荒唐無稽な事を信じさせるのはほぼ不可能。相手を怒らせるだけ。実際にマーティも最初は門前払いをくらってる。しかもドクは科学者だ。事実と根拠で生きてきた人間が納得できるような説得の仕方をしなきゃいけない。ちなみに、ここではドク=観客だ。ドクが納得できることは観客が納得できることでなきゃいけない。え、ドク、そんなんで信じちゃうの?と思われたら創り手としては負けだ。

一番王道で良い方法が、本人しか知り得ない情報を利用すること。しかも誰にもその情報を伝えていないことが大事。それがドクが次元転移装置を思いついたきっかけの出来事だ。誰でも思いつきそうな理由だけど、何が正解かわからない状態で、これを持ってくるのは相当考え抜かれてるなって思ってしまう。

そうやって見事にドクを信用させたマーティは、隠したデロリアンの場所へ連れて出すことに成功。ドクも完成した次元転移装置とデロリアンを見てようやく確信に変わる。

ドク「なんとかして、こいつをこっそり研究室に持っていかないと。…君を家に帰さねば! 」

ドクが声高らかにマーティを帰すことを宣言し、第二幕の前半の目的が達成される。
ここまで、52分15秒。ちょうど映画の半分くらい。こうやってみると、構成がすごくきれいに配置されてるのがわかるね。

次回からは、第二幕の後半。マーティが無事に85年へ帰るために奔走するパートが始まる。
というわけで、次回もまた読んでいただけたら嬉しいです!

映画は、みんな素晴らしい。

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