このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。
早速行こう。余計な前置きなんていらない。
BTTFのOPはスター・ウォーズと同じ
本当ですか?とクレームが来そうなタイトルだけれど、ある観点から見れば同じであるということを今から説明してみる。
状況設定でのインフォダンプ
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第一幕の開幕。ここの大きな目的は「状況設定」だね。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下、BTTF)はインフォダンプから始まる。それもかなり巨大なダンプだ。
[名]インフォダンプ,情報投棄(一度にはこなし切れないような大量の情報を与えること).
出典 小学館「プログレッシブ英和中辞典(第5版)」プログレッシブ英和中辞典(第5版)について
インフォダンプとは、映画でいうと、時代設定、状況設定、人物設定を一気に見せるようなイメージだ。
一般的には、限られた時間の中で、あれもこれも大量の情報を短時間で伝えようとすると、脳が処理しきれる量を超えて、観客の理解が追いつかず、置いてきぼりになる。そういった意味ではインフォダンプは良い意味で使われることはあまりない。ただ、それをしていい条件が一つ。
「そんなに重要な情報じゃない」
とはいえ、物語に全く関係ない情報ってわけじゃない。物語の本筋を理解するのに知ってたほうが面白いよってレベルの補足的な情報であることだ。二回目観た時に、理解が深まる程度の情報が望ましい。
BTTFにおいても第一幕冒頭のわずか3分に、詰めに詰めこんだ情報が溢れかえっている。
そのシーンは、開始直後、映画のタイトルが映し出されたあと、セリフ、人物、音楽も無しに、ドクの部屋だけが淡々と映し出される。
- 無数の時計と正確に7時53分に時間が合わせられている描写(本筋と関係ない実験)
- 置き時計の長針にぶらさがるドクの人形(後の伏線)
- エジソン、ベンジャミン・フランクリン、アインシュタインの写真(ドクの尊敬する人物たち)
- 置き忘れたビデオカメラ(後の伏線)
- ドクの屋敷が取り壊され、土地を売ったという新聞記事(ドクが私財を投げ売って何かをしていること)
- 85年式のトヨタ車のセールの宣伝(主人公マーティが憧れているトヨタ車)
- プルトニウムが盗まれたという事件とそれに関与しているリビアのテロリストの話(ここだけ重要)
- まっ黒焦げのトースト、大掛かりな餌やり装置、放置された大量の餌、ペットの名前がアインシュタインであること。
プルトニウムとリビアのテロリストの話だけは、テレビに流れるニュースを大きく映し出して強調している。これだけ覚えておいてくださいよっていう意味だ。あとはインプットどころか、初見では意味がわからない情報も多い。
だったら、ニュースだけ見せればいいのに、重要じゃない情報を3分も時間を使ってそんなことをするの?
という疑問が湧き上がる。その答えとしては、「動機付け」だ。
ここで出てくる情報のほとんどは、これから出てくるタイムマシーンを作ったドクの背景だ。
ドクが偉大な人物に憧れた科学者で、私財をすべて使ってタイムマシーンを作り、タイムトラベルに必要な電力を得るためにテロリストと関わってまでプルトニウムを手に入れ、その実験のために何日も家を空けていること。
これを説明するための3分だ。ドクという科学者が突然デロリアン型のタイムマシーンを作ったというだけでは、物語としての「厚み」が足りない。だけど動機をダラダラと説明しても本筋とは関係なく、そもそもそんな時間もない。だからこそ、「語るな見せろ」の鉄則で短時間で情報を観客にインプットするという手法と使っている。そういう時にインフォダンプは便利な手法だ。
有名なインフォダンプの一例というのが、『スター・ウォーズ』(77)。映画冒頭で流れる「オープニングクロール」と言われるテキストがばーっと流れるアレだ。あれはまさにインフォダンプで、読むのも大変だし、初見だと意味を把握するのも結構大変。今でこそスターウォーズの代名詞みたいになってるけど、他の映画のスタンダードにならないってことは、あんまり一般的な状況設定の仕方ではないってことだね。

『スター・ウォーズ』はここで壮大な宇宙の物語の前提となる背景をオープニングクロールを使って約2分で観客にインプットしている。そういうわけで、手法は違えど、『スター・ウォーズ』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオープニングは本質的には同じシーンと言えるんだ。・・・ちょっと無理があったかな?
テーマ
いきなり大事なテーマをすっ飛ばして、状況設定からぶっ壊してしまったけれど、BTTFは深く考えるようなテーマが薄いのが実情。エンタメに相当振り切った映画だからそこまで高尚なテーマを持ってない。
ちなみに、表面上のテーマはいたって簡単。だってタイトルにもなってるから。
「未来に戻れ(Back to the Future)」
もう一つの真のテーマというのは、大体が主人公の内面的な欠陥がテーマになっていたりすることが多い。『ターミネーター2』と『ハリー・ポッターと賢者の石』では「家族」に関する欠陥が真のテーマだったね。BTTFのマーティにおいても、克服しなければならない自身の欠陥は確かにある。それは劇中のセリフから分かる。なんだか分かるかな?
ジェニファー「いや、あなたは素晴らしいわ、マーティ。本当に素晴らしいわ。このオーディションテープだって最高じゃない。これをレコード会社に送るべきよ。ドクがいつもいってるでしょ…」
マーティ「ああ、分かってる。分かってるって。為せば成る。何事も 、だろ?」
この部分だ。
マーティも自分に自信が無くて、成すための行動ができていないでいる。この映画の真のテーマは何?と聞かれたらこの部分になるということは間違いない。マーティもこの大切さを物語を通して学んでいくのは確かなんだけども…。
これはヒーローズ・ジャーニーでも説明したけれど、物語は通常、主人公を中心に全てが進んでいく。試練に挑むのも、それによる報酬を得るのも、世界に光や変化をもたらすのも主人公だ。これは物語の基本的な約束事。
だけどもBTTFにおいて、世界に直接変化をもたらすのは、マーティの父親、よく見るとかなりイケメンの「ジョージ・マクフライ」だ。物語だけ観ると、主役は明らかにジョージ。それがこの映画のシンプルじゃないところ。
この映画においては、主人公であるマーティは、傍観者であり、変化を促す役割が多い。じゃあマーティの主人公としての役割は何?となってくる。実はヒーローにもいくつかタイプがあるんだ。次回からは、それを物語を追いながら詳しく掘り下げてみたいと思う。
といったところで今日はおしまい。次回は、主人公のタイプについて触れてみよう。
次回も是非読んでもらえたら嬉しい!!
映画は、みんな素晴らしい。

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