このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。
映画のテーマ

本編に入る前に、映画の概要について簡単に。みんな知ってると思うけどね。
この映画について
映画『ハリー・ポッターと賢者の石』は、J・Kローリングによる1997年の同名の小説に基づいたハリー・ポッターシリーズの記念すべき第一作目。製作年は2001年(23年前…ウソでしょ…)
J・Kローリング
監督は、クリス・コロンバス。40代にはお馴染み、グレムリン、グーニーズ、ミセス・ダウト、ホーム・アローンシリーズなど、ホームコメディがお得意な監督。
Luigi Novi, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=30001522による クリス・コロンバス監督
脚本担当は、スティーブ・クローブス。ハリー・ポッターシリーズ、ファンタスティック・ビーストシリーズ全作品を担当している。渋いお方。

で、次にあらすじ。これも説明不要な気もするけど。
今回は、ChatGPTに結末のネタバレ無しのあらすじを書かせてみた。
『ハリー・ポッターと賢者の石』は、11歳の少年ハリーが自分が魔法使いであると知り、ホグワーツ魔法魔術学校に入学する物語です。親友のロンやハーマイオニーと出会い、授業や冒険を通じて友情を深めます。ホグワーツでの生活の中で、ハリーは両親の死にまつわる秘密や魔法世界に潜む危険に触れ、成長していきます。賢者の石という不思議な力を持つアイテムをめぐり、謎めいた存在と向き合いながら、彼の冒険が始まります。
おお。凄い。ちゃんと教えてくれた。手を抜くんじゃねえぞというクレームは置いておいて、ストーリーはそんな感じだ。
年代別のテーマ
ここから本編。今回もまずは映画を真っ二つ。この映画の芯である「テーマ」を探っていこう。
この映画は、ハリー・ポッターが11歳の誕生日から物語は始まる。
この11歳という設定の中にテーマが隠されている。かもしれない。
映画のテーマというのは、主人公の年代によって変わってくる。幼少期、思春期、青年期、中年期、老年期、晩年期とそれぞれの人生のステージによってテーマが変わってくる。それはリアル人生も同じだね。
たとえば、ハリー・ポッターのような子どもが、過ぎ去ってしまった11年という人生の後悔を取り戻そうとはしないし、逆に老年期を迎えた主人公が、自分探しのために、一人立ちのために旅に出たりしないのだ。現実にはそんな輩もいるかもしれないが、映画のテーマとしてはふさわしくない。
これについて、アメリカで脚本コンサルタントを務めていたリンダ・シーガーが著者の
「アカデミー賞を獲る脚本術」に詳しく書いてある。
彼女は、年代別にテーマの特色をまとめている。
幼少、子供時代…
信頼や自尊心、帰属意識の問題がよく取り上げられる。ストーリーの進行につれて、子どもは自身を高め、最後には自尊心と帰属意識を身につけていく。
『ハリー・ポッターと賢者の石』、『ホーム・アローン」、『E.T.』、『オズの魔法使い』など
10代(思春期)…
たいていアイデンティティの問題が絡む。自分は一体何者なのか。または性が目覚める時でもある。
『今を生きる』、『スタンド・バイ・ミー』、『タイタニック』、『エヴァンゲリオンシリーズ』など
10代後半〜30代(青年期)…
※文中ではヤングアダルトとなっている(死語過ぎて置き換えてしまった)
メインストーリーとして成功や目標達成を置き、サブプロットとして親密な人間関係を扱うことが多い。恋愛、友情、地域社会との関係を描く。
『スターウォーズ』、『エターナル・サンシャイン』、『ロッキー』、『スラムドッグ・ミリオネア』など
20代〜40代(中年期)…
精神主義か、物理主義化というテーマに直面する。物質で満足する人生を否定し、自分が大切だと思うもののために立ち上がる、誠実さ、自己犠牲、正義など精神的なものに価値をおく。
『イン・トゥ・ザ・ワイルド』、『エリン・ブロコビッチ』、『ガンジー』など
50代〜80代(熟年期)…
「誠実VS絶望」問題に直面する。このテーマは映画史において非常に多い。世間の目は別として、自身が人生を肯定できるかどうかが焦点になっている。すべてを手に入れた人物が、誠実さを失っていたというのは典型的なストーリー。
『ビューティフル・マインド』、『L.A.コンフィデンシャル』、『ゴッド・ファーザーPARTⅢ』、『市民ケーン』など
老年…
「和解VS後悔」問題に直面する。過去の傷を癒やし、人間関係を修復し、人とつながることで孤独に打ち勝ちたいと思う。
『恋愛小説家』、『マグノリア』、『グラン・トリノ』など
晩年…
「怒りVS満足した受け入れ」問題に直面する。人生において重要な基本問題に向き合わずに来てしまったか、もしくは最後のひとときを満足して受け入れるか。
『最高の人生の見つけ方』、『生きる』など
リンダ・シーガー著, アカデミー賞を獲る脚本術, フィルムアート社, 2005 p.269 を参照
ハリー・ポッターと賢者の石のテーマ
ハリー・ポッターはまだ11歳。この分類でいうと、前述したように幼少・子供時代にあたる。
ハリーの状況を見ると、なかなか悲惨だ。
冒頭に、孤児としてダーズリー家に預けられるハリー。そして11歳に成長したハリーの生活を描写するところから映画は始まる。ハリーは、自分の部屋を与えられることもなく、ダーズリー家の階段下の物置に住んでいる。愛情を注がれるどころか、育ての親からは疎まれ、一人息子のクソガキ、ダドリーに毎日のように虐められている。学校に行っている描写もなく(原作では人間(マグル)の学校に通っている記述はある)、友達もいない。親は交通事故で死んだと聞かされ、魔法使いの話なんて一切教えられていない。
要するに、ハリーは完全に孤独なのだ。幼少時代の一番大事な時期に、親の愛情を注がれることなく、育ての親に虐げられてきた。そんな生活では、信頼も自尊心も、帰属意識も芽生えることはない。冒頭にそれが欠落している姿をまざまざと見せるということは、それを二時間という物語を通して獲得していく映画ということになる。ハリーを魔法界で成功させて、ダドリー家ざまぁwwwという姿を見せたいわけじゃないんだね。
そんなわけで、この映画のテーマは、
「ハリーが信頼や自尊心、帰属意識を獲得すること」となる。
これは何度もくり返すけれど、「映画は葛藤である」だ。
主人公ハリーが欠落した愛を求める渇望や葛藤が、行動の動機となり、起爆剤となって物語を押し進めていく。映画に必須なのは強力な葛藤。これが単純なファンタジー映画にとどまらせない大事なポイントになるんだね。
ということで、軸になるテーマがわかったところで、今回はおしまい。次回から本編をぶっ壊していこう。
ではまた。
映画はみんな、素晴らしい。



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