このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。
インターステラーをぶっ壊せ!!
今回から本編をぶっ壊していきましょ。
ブレイク・スナイダー・ビート・シート
#0で話をした、ブレイク・スナイダー・ビート・シートにそってやっていこう。
復習のために一覧をもう一度載せる。今回は該当するページ数も()の中に付け加えておく。そのビートがどのページで起こるかを書いてる。例えば3のセットアップ(1〜10)でいうと、1ページから10ページの間のどこかで起こるという意味。
単位は脚本をベースにしているので総数が110ページになっているけれど、映画で考えると1ページ=1分と考えてよい。映画は大体最後のエンドロールが10分あるから、一般的な2時間映画を想像してもらえばよいかな。
- オープニングイメージ(1)
- テーマの提示(5)
- セットアップ(1〜10)
- きっかけ(12)
- 悩みのとき(12〜25)
- 第一ターニングポイント(25)
- サブプロット(30)
- お楽しみ(30〜55)
- ミッド・ポイント(55)
- 迫りくる悪い奴ら(55〜75)
- すべてを失って(75)
- 心の暗闇(75〜85)
- 第二ターニングポイント(85)
- フィナーレ(85〜110)
- ファイナル・イメージ(110)
物語の構成として15のビートに分けるのが特徴。前回は触れなかったけれど、「ビート」って聞き慣れない単位が出てくるのでここで説明。
「ビート(beat)」とは、物語の中で感情や出来事の“変化点”を指すストーリー上の単位のこと。
シド・フィールドでいうところのプロットポイントに似ているけれど、もう少し細かい単位になる。
ビートは感情がマイナスやプラスに動く変化点。誰かに出会ったり、何かを決心したり、実際に行動したり。プロットポイントは物語の転換点だから、ビートが起きる(キャラクターが行動する)きっかけというイメージかな。大きな事件が起きたりすることが多い。
前置きはこれくらいにして、本編を見ていこう!!
1.オープニングイメージ(1)
その名の通り、映画の一番最初に来る物語の強烈なイメージを植え付けるためのシーンだ。
映画の最初の5分は大事って話を前にしたけれど、ブレイク・スナイダーも同様にオープニングイメージというのは映画の印象を決定づける大事なビートだと話している。
映画の第一印象――映画のスタイル、雰囲気、ジャンル、スケール――はすべて<オープニング・イメージ>で決まる。
ブレイク・スナイダー著, SAVE THE CATの法則, フィルムアート社, 2010年, p259
また、物語の機能としては、主人公の出発点を表していて、最後の「15.ファイナル・イメージ(110)」と対になっている。オープニングイメージで主人公の使用前(変更前・旧世界)を見せて、ファイナルイメージで、使用後(変化後・新世界)を見せることが目的だ。
オープニングイメージ単体の役割としては、
映画全体のスタイル、雰囲気を設定し、主人公を紹介して(使用前)の主人公の映像を見せる。
ブレイク・スナイダー著, SAVE THE CATの法則, フィルムアート社, 2010年, p259
と、こんな感じだ。シド・フィールドでいうと、第一幕であるセットアップの最初の一部、クリストファー・ボグラーでいうところの日常の世界の冒頭の一部が該当する。
0:00〜
では、実際のインターステラーのシーンを見てみよう。
・埃だらけの本棚に砂埃が舞っている。本棚にはたくさんの本とスペースシャトル。
・テレビ画面に老女がインタビューを受けている。そして映し出される広大なトウモロコシ畑。
年老いた女性「父は農夫でした。当時はみんな畑を耕してた」
・クーパーの悪夢。宇宙服を着たクーパーが操縦する宇宙船が制御不能になる。
大きくはこの3つ。
シーン単体では謎めいていて、初見ではシーンの意味はわからないけれど、役割はしっかりとこなしている。
まず、棚に降り積もる砂埃は地球の現状を表し、宇宙船はストーリーが宇宙にまつわることを示唆し、埃が舞う本棚は、すべての始まり、そしてすべての終わりがこの本棚と砂埃に集約されている。いわば映画の象徴みたいなものだ。次の老女のインタビュー(ネタバレするとマーフ)がクーパーや地球に住む人が、第一次産業まで後退している様子を表し、最後のクーパーの悪夢は宇宙飛行士という職業やトラウマについて知ることができる。
映画全体のスタイル、雰囲気を設定し、主人公を紹介して(使用前)の主人公の映像を見せる。
これの役割をまんま全うしているのがわかるね。観客もこのオープニングイメージを観て、映画館に来る前の雑音や雑念がぱっと消えて、物語に惹かれていく。
2.テーマの提示(5)
前シリーズでも、映画の物語の中心となる「テーマ」を確認していると思うけど、今回参考にしているブレイク・スナイダーもこの「テーマ」については当然重要視している。彼は、映画に隠されたテーマが5分くらいのところで、何かしら示唆されると言っている。ただ注意してほしいのは、テーマはこれです!ってセリフやシーンが明確に出てくるわけじゃない。あからさまにテーマを明示したりすると説教臭くなるからあまりやらない。さりげなく観客に問いかける程度だ。
登場人物の誰か(たいていは主人公以外の人物)が問題を提起したり、テーマに関連したことを口にする。
ブレイク・スナイダー著, SAVE THE CATの法則, フィルムアート社, 2010年, p259
主人公は、この時点ではまだ使用前なので、テーマの意味を理解しておらず、物語の終盤で、ようやくその意味の重さに気づくことになる。
では、インターステラーのテーマはというと、
愛は科学を超える。
科学の部分は主に重力のこと。これが映画全体を流れる大きなテーマとなっている。クーパーと娘のマーフィの強い絆が時空を超え、人類を救う壮大な物語だ。
このあたりを示唆するセリフを探してみると、直接的なセリフはあまり見当たらないが、それとなく示唆をしているセリフが冒頭3分すぎに見られる。
クーパー「幽霊は科学的じゃないな」
マーフィ「未知を認めるのが科学よ」
勝手に棚から落ちる宇宙船のおもちゃを幽霊の仕業というマーフィをクーパーが注意するシーン。マーフィのこのセリフがマーフィの性格を表し、最終的に未知の力を信じて認めたからこそ、重力の謎を解き明かすことができた。
このセリフはテーマを完全に表しているわけではないけれど、それに繋がるセリフを冒頭から明示することで、映画全体を流れるテーマを観客に知らせることができるんだね。
ということで、今回はオープニングイメージとテーマを確認できた。次回もどんどん先に進んでいこう。
映画は、みんな素晴らしい。

コメント