このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。
第二幕後半をぶっ壊せ!!始めていきます。
帰るための試練
52分16秒〜
なんとか55年のドクを説得できたマーティ。早速具体的にどう戻るかを検討してもらう。すんなり帰せてしまったらなんにも面白くないので、第二幕がメインとなるヒーローズジャーニーのステージ6の一つ「試練」が山積みになってる。三幕構成でいうところの「葛藤」にあたる部分だ。
葛藤なしでは、アクションは生まれない。アクションがなければ、キャラクターを作ることができない。キャラクターなしでは、ストーリーが生まれない。ストーリーがなければ、脚本は存在しない。
シド・フィールド著『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』フィルムアート社, 2009年, p.352
なんども繰り返しているけれど、物語には葛藤が必要だ。しかも、その解決は不可能と思われるレベルの葛藤を設定すれば、物語はきっと面白くなる。問題は大きく思い方がいい。さらに命に関わる問題ならなおさらよい。
というのも、
葛藤こそが、第二幕の流れを前進させる源であり、ストーリー全体を動かすエンジンとなる。
シド・フィールド著, 素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック, フィルムアート社, 2012年, p.281
だからこそ、エンジンはデカく、重い方が、パワーを発揮できるのは映画も一緒ということだ。
ところでBTTFの試練=葛藤は大きくは二つ。
①1.21ジゴワット問題
85年では、デロリアンのタイムトラベルに必要な1.25ジゴワットの電力をウランで捻出していたが、55年当時ではそれが不可能なこと。※ジゴワットの単位についての話は有名だね。
②過去の改変問題
マーティが両親の出会いを邪魔してしまい、父ジョージと母ロレインが出会わなかったこと。
ここで初めて、マーティが知らなかったこの世界の絶対的ルールをドクから聞かされる。
ドク「マーティ!それは全く問題外だ!この家を出てはいけない!誰とも会ってはいけないし、誰とも話してはいけない。なにかすれば、重大な影響が未来の出来事に影響を及ぼすかもしれないからな! わかるか?」
そのことに全く無知で無自覚なマーティは、ジョージを助けたことで過去が変わってしまった。自分の軽率な行動が未来を変えてしまったのだ。
この二つの大きな問題がマーティにとっての「試練」であり、「葛藤」になる。
①の試練についてはすぐに目処が立つ。一週間後に時計台に落雷が落ちる予定になっており、その雷の電力を使って1.21ジゴワットを生み出す。これが唯一の解決法だ。
ちなみに、自然現象を対象にした葛藤が成立しないことはご存知だろうか。結論を言うとドラマが成立しないのだ。葛藤というのは、相手があって成り立つもの。自然はただそこに「在る」だけ。そんな自然が敵対者担った場合、人間は逃げ惑うか、なんとか立ち向かうか。それだけだ。この雷に関しても、雷に意図はなく、ただその時間に時計台の避雷針に一発落ちるだけ。落ちるまではなにもない。
だから、①の問題だけだと物語が成立しないので、②の問題が物語を生かす。
②の試練。母のロレインはマーティに惹かれており、それをひっくり返して父のジョージとくっついてもらわなければならない。もし成功しなければ、マーティの存在はなかったことになる。まさに「命の危険」だ。しかもこの問題は自分の行動が原因になっており、その責任を取らなければならない。高校生のマーティが大人として成長する機会としても設定されている。
この危険度を表すメーターとして、ビジュアル的にわかりやすい小道具を使ってる。おなじみ兄弟3人の写真だ。両親の出会いが遠のくたびに、兄と姉の存在が順番に消えていく表現を使っている。(よく考えると末っ子から消えていくような気もするけど…)
BTTFは他にも過去の変化とかをわかりやすくするために写真とか新聞記事を使って表現をしてる。これらを使うのは時間の節約が目的。実際に変化を映像で説明する時間がいらなくなるからね。
さて、こうしてやることははっきりした。このあたりが、三幕構成でいうところの「ミッドポイント」になる。ミッドポイントというのはプロットポイントの一つだ。
ミッドポイントは、脚本の六十ページあたりで起こる事件、出来事、エピソードであり、第二幕を前半と後半に分けながらも、両者で起きるアクションの橋渡しをするプロットポイントなのである。
シド・フィールド著, 素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック, フィルムアート社, 2012年, p.281
前半で前提をしっかりと固めて、後半に何をスべきかをこのミッドポイントという中間ポイントで、物語の進行を止めて整理する。観客もここで一旦休憩を取りながら、前半の伏線で明らかになったものを整理することができる。
あとは、行動に移すだけだ。
過去をもとに戻せ!
55分53秒〜
映画の時間的にも残り半分。
マーティとドクは、早速行動に移る。ジョージとロレインがいる高校に潜入する。そこで、マーティがジョージとロレインに対して何をすべきかを観客に対して明確にしてくれる。これも前半にロレインが語っていた思い出話が伏線となって、このシーンに生きてくる。
マーティ「それだ!魅惑の深海ダンスパーティ!二人はこれに行くはずなんだ。そこで二人は最初のキスをするんだ」
ということで、
①ジョージとロレインが魅惑の深海ダンスパーティに行くこと
②そこで二人がキスをすること
これが歴史の修正の達成条件となる。
ジョージ・マクフライのヒーローズ・ジャーニー
さて、もう一つの物語、ジョージ目線でその構成を追ってみる。
ジョージにとってのヒーローズ・ジャーニーは今のところこんな感じ。
- ステージ1:日常の世界
気弱でいじめられっ子。ビフに奴隷のようにこき使われている。30年後の未来もそれは変わらない。 - ステージ2:冒険への誘い
マーティと出会い、ロレインを紹介される。 - ステージ3:冒険への拒絶
マーティにそそのかされ、ロレインにアプローチしてみるが、当のロレインはマーティに好意を持っており、相手にされない。ジョージも自信がなく、すぐに諦めてしまう。
ジョージ「なあ、僕はロレインをダンスに誘い出す準備なんてできてないんだ。それに君に、いや地球上の誰に言われてもそれは変わらない」
- ステージ4:賢者との出会い
なぜか色々アドバイスをしてくれるマーティとの出会い。 - ステージ6:試練、仲間、敵対者
試練:ロレインをダンスに誘う
仲間:カルバン・クライン(マーティ・マクフライ)
敵対者:ビフ・タネン
ここまでがいわゆる第一幕パート。ジョージの物語も58分50秒〜のシーンでファーストプロットポイントを迎える。
- ステージ5:第一関門突破
マーティは、ロレインをデートに誘うようジョージにしつこく迫るが、どうしてもその気にさせられない。そんなとき、ジョージがSF好きで自分でも小説を書いているという隠れた才能を見つける。マーティはSF好きを利用して、突拍子もない方法でジョージをやる気にさせる。
ジョージ「昨日の夜、バルカン星からきたダースベイダーがいったんだ。もしロレインを誘わなかったら脳みそを溶かすって」
マーティ「ああ、そうだ、分かったよ。聞いて。その脳みそが溶けるみたいな話は僕たちだけの秘密にしておこう。いいね?」
こうやって、2つの物語が同時に進行していく。もちろん物語はバラバラではなく、映画の主人公であるマーティがジョージの運命に深く関わりながら、ひとつの物語のように進行していく。
というわけで、今日はここまで。
次回からは、試練を二人で乗り越えようと奮闘していくパートに入る。
映画は、みんな素晴らしい。

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