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映画をぶっ壊せ!!『バック・トゥ・ザ・フューチャー』編:②第一幕・弐

このブログを読む前に一つだけ。思いっきりネタバレします。

今日も、バック・トゥ・ザ・フューチャーをぶっ壊せ!!
ということで始まります。

ヒーローの型

前回、ヒーローのタイプにはいくつかあるっていう話をしたけれど、今回紹介するのは5種類のタイプだ。
簡単に解説と例も載せておく。

  • 集団に属するヒーロー
    集団の一員だった人物が、新世界を冒険し、元の世界に帰るか、留まるかの選択を迫られる。
    『オズの魔法使』のドロシー、『インターステラー』のクーパー、『天空の城ラピュター』のパズー
  • 一匹狼タイプのヒーロー
    もともと孤独だった人物が、集団に受け入れられ、最後に独りに戻っていく。
    『七人の侍』の七人の侍たち、『用心棒』の桑畑三十郎、『シェーン』のシェーン
  • アンチ・ヒーロー
    お決まりのヒーローのようにふるまうが、皮肉屋で感傷的な部分が強く描かれている。社会の常識からすると仲間外れな人物である。
    『チャイナタウン』のジェイク・ギテス、『タクシードライバー』のトラヴィス、
    『カサブランカ』のリック
  • トラジック・ヒーロー
    自らの内なる悪魔に勝てず、破滅していく。尊敬できるタイプではない。
    『ゴッドファーザー』のマイケル、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のフランク、
    『嵐が丘』のヒースクリフ
  • カタリスト・ヒーロー
    英雄的に行動するが、自信は変化せず、他のキャラクターたちに変化をもたらす。
    『ショーシャンクの空に』のアンディ、『スチュアート・リトル』のスチュアート・リトル(ねずみ)、『ビバリーヒルズコップ』のアクセル・フォーリー

これらは、”ヒーローズ・ジャーニー12”のステージでおなじみの、クリストファー・ボグラーが『神話の法則』の中で分類してるので、詳しく知りたい方はぜひ読んでみてほしい。

BTTFのマーティ・マクフライはどれにあたるかというと、カタリスト・ヒーローだ。マーティ自体は学ぶことはあっても劇的な変化はせずに物語を終える。変化の役割を担うのは、ジョージ・マクフライ。マーティの役割は、常にジョージの隣にいてアドバイスを送り続ける。いわば、『ハリポタシリーズ』のダンブルドアと同じ「賢者」のアーキタイプを演じ続ける。

「ヒーローが最も変化するキャラクターだ」という一般的なルールに当てはまらない。(中略)彼ら自体は変わらずに他の人物や社会に変化をもたらすのである。

クリストファー・ボグラー著, 神話の法則 ライターズジャーニー, 愛育社, 2002, p.495

ちなみに、このタイプのヒーローは、どちらかというと1話完結ドラマの主人公との相性が良い。医者、弁護士、探偵など、彼らに内面的な変化はないが、自信の能力によって他人を助けたり、世の中に平和をもたらしたりするという役割を持っている。
シャーロック・ホームズ、古畑任三郎、刑事コロンボ、名探偵コナンなどなど。

主役の状況と人物設定

2分56秒〜

そんな主人公マーティが登場するのが、ドクの部屋を一通り紹介した直後。スケボー片手に軽率な若者な感じで調子よく入ってくる。どうやらドクを探している様子。本筋としては、ドクから電話があり、夜中に実験の手伝いを頼まれることだけ。あとの残りはマーティの人物設定。そのポイントを羅列してみる。

  • ドクと親しい間柄である。
  • ギターを弾き、ロックを愛する。
  • ジェニファーという美人のガールフレンドがいる
  • 通っている高校に4回連続で遅刻するようなだらしなさがある。
  • マーティの家族であるマクフライ家はヒルバレーの歴史上、代々負け犬一家であること。

このあたりが、状況設定で大事なポイントだ。客観的なマーティの状況が映し出される。特にマクフライ家については重要な伏線だ。マーティは決して優秀なタイプではなく、どちらかというと劣等生の部類だということがわかる。彼女は美人だけど。

8分00秒〜

次に、マーティの問題点が提起される。

バンドのオーディションに挑むマーティ。しかし結果は惨憺たるもの。マーティ自身も自分の才能を信じきれていない。それをジェニファーがドクの言葉を借りて慰める。これが前回話したこの映画のテーマとなる。

マーティ「違う、僕には音楽の才能がないんだよ 」
ジェニファー「いや、あなたは素晴らしいわ、マーティ。本当に素晴らしいわ。このオーディションテープだって最高じゃない。これをレコード会社に送るべきよ。ドクがいつもいってるでしょ…」
マーティ「ああ、分かってる。分かってるって。為せば成る。何事も 、だろ」

この話をしながらも、マーティは他の女の子に目移りしている。
マーティ自身、この将来について真剣に考えていないことが分かる。まあ、高校生だし仕方ないけど。

そんなマーティの憧れというか目標が、目に見えるものとして一つ設定されている。それがTOYOTAのハイラックスだ。町で見かけたその車を羨望の眼差しで見るマーティ。

マーティ「あの4駆を見なよ。マジやばいな。いつの日か、ジェニファー。いつの日かだ」

トヨタの車。Toyota Pickup 4×4
同モデル。By Jacob Frey 4A – https://www.flickr.com/photos/72637915@N03/31429773948/, CC BY 2.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=117724322

何もしてないのに「いつの日か」なんて言ってる奴にいつの日かなんて来ないことはみんな知ってる。マーティが置かれた状況というのがこのセリフに表れてる。このままじゃ、永遠にハイラックスは乗れないのだ。

逆に言うと、このハイラックスを手に入れたときが、マーティが「変化した」ということの証拠になる
人の心境の変化は目に見えない。繊細な心理描写を描く映画ならまだしも、エンタメ色が強い映画でそれを表現するのは難しい。みんな小難しいこと考えに来てないから。だから、わかりやすいものを設置しておくのはとても重要。

そんなマーティがこの問題に取り組まざるを得ない状況に陥り、試練を乗り越えて、為せば成るということをマーティ自身が学んでいく。というのが、普通の映画。しかしこの映画は違う。マーティの代わりにその問題に取り組むのは、このあと出てくるジョージ・マクフライだ。マーティはそれを全力で応援するだけ(笑)。そこが、カタリスト・ヒーローの特徴だ。

負け犬マクフライ家

11分46秒〜

マーティが家に帰宅すると、マーティがジェニファーとのデートに使おうとした車が大破しているのが目に飛び込んでくるところから始まる。

マーティ「完璧だよ、全く完璧だね」

家に入ると、父親のジョージ・マクフライが映る。見るからに気弱でおどおどしている。その彼に詰め寄っているのが、本映画の敵役、ビフ・タネンだ。映画史上稀に見る嫌なやつである。どれくらい嫌なやつかと言うと、

ビフがジョージのネクタイを掴み、ジョージの頭をノックする。
ビフ「もしもし?もしもし?誰かいますかー?ああ?考えろマクフライ。考えるんだよ 」

こんなことを、シリーズ通してやっているようなやつだ。ただシリーズに欠かすことのできない愛すべき敵キャラのお手本のような存在だ。

そんなビフは、ジョージに借りた車を大破させたのにも関わらず、ジョージのせいにして、挙句の果てに事故で汚れたジャケットのクリーニング代まで払わそうとしている。その上自分の仕事をジョージにやらせている。ジョージはそんなビフが怖くて、言いなりになっている。まさに負け犬マクフライ家を代表するキャラクターだ。

そのあとに、マクフライ家の面々が登場する。
・万年アルバイトの兄デイヴィッド
・うだつのあがらない姉リンダ
・中年太りなアル中の母ロレイン
どの人物もぱっとしない。

ただ、母ロレインのジョージへの愛は本物で、何度も繰り返しているように子供たちに出会いについて話している。これも第二幕の重要な伏線。

ジョージとの出会いのポイントは3つ

  • 出会いはロレインの父がジョージを車で轢いたこと
  • 魅惑の深海ダンスパーティが初デート
  • ダンスフロアで初めてのキスをして生涯を共にしようと決心したこと

この話をして、第一幕の状況設定パートはほぼ終わり。ここまでだいたい17分28秒。ここから、第一幕のクライマックスであるファーストプロットポイントが始まる。

といったところで、今日はおしまい。次回はファーストプロットポイントと第一幕に起きるヒーローズ・ジャーニーのステージを見ていこうと思う。

では、次回も読んでいただけると嬉しいです!
映画は、みんな素晴らしい。

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